喫茶文化が根付く足利にそれぞれ店を構えた、カフェ「C&B」の伊部さん、「teal」の蓼沼さん、そして和菓子屋「ふくしまや」の福島さん。彼らの話を聞くと、肩肘張らず、ゆるやかにつながりながら足利での日々を楽しむ姿があった。「店主ひとりで営業する店が多く、個性的な人ばかり」と話すのは蓼沼さん。福島さんも、足利のカフェの魅力は「人」にあると言う。店同士がコラボしたイベントも盛り上がっていて、「足利を変えるという使命感があるわけじゃなく、自分たちがおもしろがってやっている」と伊部さん。店主たちとの会話に、心もゆるりとほどける。
「C&B」のコーヒーは石川県珠洲市の「二三味珈琲」から取り寄せた豆を使用。ドリップが始まると芳しい香りが店内に広がる
ふくしまやの珈琲マスカルポーネ大福は和風テイストのティラミス大福。奥は秋冬限定のいちじくくるみ大福。いずれも1個150円
鑁阿寺の風景を眺めつつ、「リラックス」「デトックス」など女性に嬉しい効能別にブレンドされたハーブティーを楽しめる「teal」
新しいカフェだけでなく、老舗喫茶店が変わらぬ佇まいを残しているのも足利の良さ。江戸末期の蔵を利用した「珈琲蔵」、「はせがわ珈琲店」などがそうで、琥珀色の空間には特別な時間が流れているよう。一方、オープンして間もないけれど、ライブやイベントが盛りだくさんで、人が集う交流の場になっているのが「カフェ杏奴」や「GRIMM CAFÉ」。東京の下落合から移転したカフェ杏奴には、杏奴ママに会いたくて、はるばるやってくる東京時代からのファンも多いそう。心地よい場所の真ん中には素敵な店主の笑顔があった。
築60年の自宅を改装して37年前から営業する「はせがわ珈琲店」の長谷川洋子さん。看板猫のルルちゃんを抱いて
「珈琲蔵」のパンは自家製。分厚く切った食パンが嬉しいあんバタートーストと、自家焙煎のコーヒーのセット700円
「GRIMM CAFÉ」は2015年1月オープンの新顔。昼はドライカレーやパスタ、カフェタイムにはスコップケーキ風のパフェやワッフルを
喫茶文化が根付く足利の歴史は、鎌倉時代に建立された鑁阿寺に始まる。明治以降は織物の町へと変遷し、当時大流行した「足利銘仙」と呼ばれるモダンな着物を生み出した。「東の小京都」と称される風情のある町並みを散策すると、あちこちに時代の痕跡を見つけることができる。夕方、森高千里の代表曲としても有名な「渡良瀬橋」へ赴けば、広い空を真っ赤に染めながら沈む夕日がどこかノスタルジックな気分に。足利は浅草から特急で1時間と少しの距離だから、陽が沈むまでぼーっと空を眺めるのもいい。のんびりと歴史をたどったり、穏やかな風景に癒されたりしながら、歩き疲れたらおいしいコーヒーでひと休み。足利は、そんな素敵な旅ができる場所。
町の中心部にある鑁阿寺は、室町幕府を開いた足利尊氏で有名な足利氏の邸宅跡に建てられた寺。2013年に本堂が国宝に指定された
鑁阿寺の参道にもなっている石畳の通りには、足利銘仙をはじめとする古布や着物を扱う雑貨店もあり、そぞろ歩きにおすすめ
古都に息づく和菓子の文化。「ふくしまや」では祖父の代から大切に使われてきた干菓子の木型が飾られ、細工の細やかさに目を見張る
鑁阿寺そばのブックカフェ「C&B」の伊部さんは、ユニークで気負いのない人。ご近所の雑貨店でもコーヒーが楽しめるようデリバリーを行っていて、注文が入ると、カフェのお客さんに店を任せて出かけてしまうのだそうです。「おかしな店主ですね~と、知らないお客さん同士で会話が生まれていたらいいなと思って」と伊部さん。1杯のコーヒーを通して結ばれる店主と客の優しい関係が、足利のカフェの魅力だと気づきました。歴史のある喫茶店になればなるほど、そんな素敵なエピソードがもっと隠されているのかもしれません。
シーアンドビーC&B
本を読む時間を大切にしている店主・伊部勝之さんがセレクトした本と、淹れたてのコーヒーが楽しめるブックカフェ。
- TEL. なし
- 住所/栃木県足利市井草町2403-2F
- 営業時間/12:00~19:00 金定休(ほか臨時休業あり)
- アクセス/JR足利駅または東武伊勢崎線足利市駅より徒歩15分
- 詳細はこちら
ティールteal
鑁阿寺の西門が見える、居心地のいいカフェ。ハーバルセラピストの資格を持つ女性店主がブレンドするハーブティーで心潤して。
- TEL. 080-7940-1417
- 住所/栃木県足利市家富町2195 2F
- 営業時間/11:00~20:00 月定休(ほか臨時休業あり)
- アクセス/JR足利駅または東武伊勢崎線足利市駅より徒歩17分
- 詳細はこちら
オンカシツカサ フクシマヤ御菓子司 ふくしまや
イタリアンや洋菓子づくりを経験した3代目が展開する、伝統と革新の和菓子に注目。足利産とちおとめのイチゴ大福は12月中旬から。
- TEL.0284-41-5559
- 住所/栃木県足利市菅田町109-3
- 営業時間/9:00~18:00 月定休
- アクセス/JR足利駅よりタクシー10分、東武伊勢崎線足利市駅よりタクシー15分
- 詳細はこちら
ハセガワコーヒーテンはせがわ珈琲店
シックな空間で濃厚なコクが広がる「はやしらいす」1300円(ドリンク付)やラム酒が利いたチョコレートケーキ400円などが楽しめる。
- TEL.0284-41-2776
- 住所/栃木県足利市伊勢町3-6-6
- 営業時間/11:00~20:00(19:30LO) 火定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩5分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩15分
カフェグラ珈琲蔵
江戸末期の蔵を利用したカフェ。有機栽培豆を自家焙煎したコーヒーと、厨房のオーブンで焼きあげる食パンなど、メニューも懐かしい。
- TEL.0284-41-3585
- 住所/栃木県足利市旭町2292
- 営業時間/8:00~19:00(18:30LO) 土・日10:00~ 月定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩14分、東武伊勢崎線足利市駅よりタクシー4分
グリムカフェGRIMM CAFE'
音楽とカフェの融合がコンセプトで、2階にはライブスペースを併設。使用する水や温度にまでこだわって淹れるコーヒーも本格派。
- TEL.0284-22-7005
- 住所/栃木県足利市通2-2654-11
- 営業時間/12:00~22:00(21:30LO) 火定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩10分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩13分
- 詳細はこちら
カフェ アンヌCafé 杏奴
壁いっぱいの本棚には、店名の由来になった森鴎外と娘・杏奴の作品などが。チキンとポークの合わせもりカレー1000円は上品な辛さ。
- TEL.0284-22-4530
- 住所/栃木県足利市通2-2624 前澤ビル1F
- 営業時間/11:30~19:00 火定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩10分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩14分
- 詳細はこちら
バンナジ鑁阿寺
鎌倉時代の武家屋敷の様式を今に伝える境内は、国宝指定の本堂をはじめ貴重な建物の宝庫。春の桜、秋の大銀杏の黄葉が見どころ。
- TEL.0284-41-2627
- 住所/栃木県足利市家富町2220
- アクセス/JR足利駅より徒歩10分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩15分
- 詳細はこちら
栃木県・足利市に行こう!
東武伊勢崎線浅草駅より特急りょうもう号で東武伊勢崎線足利市駅まで約1時間10分。
またはJR東京駅より東北新幹線なすのでJR小山駅まで約40分、JR両毛線に乗り換えJR足利駅まで約35分
足利に来たら絶対足を伸ばしたいスポット!
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